アスリートに必要な5大栄養素
人間が生きるために欠かせない5つの栄養素を5大栄養素といい、糖質・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルが相互に働くことで筋肉の合成や回復が促され、アスリートの場合はパフォーマンスに繋がります。
栄養バランスが偏ると、せっかく摂取した栄養素の働きも十分に発揮されないので、日々まんべんなく必要な栄養素を摂る必要があります。
食事の基本は朝・昼・夕の3食を食べることで、必要に応じて間食を摂ります。アスリートの場合、間食は単に空腹を満たすためのおやつではなく「補食」と呼び、足りない栄養を補う大事な役割があります。
炭水化物
消化されるとエネルギー源に代わる糖質と、消化されない食物性に分けられます。食物繊維は腸内環境を整える働きがあり、便秘の予防にも役立ちます。
糖質の主な働き
脳や筋肉のエネルギー源となる栄養素です。1グラムあたり4キロカロリーのエネルギーで、ごはん、パン、麺類などの主食に含まれます。糖質は筋肉や肝臓に貯蔵されるエネルギー源(グリコーゲン)の材料です。運動中は優先的に使われる栄養素なので、アスリートの場合は集中力やスタミナを保つためにも、計画的に摂取・補給しましょう。
不足すると
エネルギー不足になる。
持久力・集中力の低下
筋肉のたんぱく質が分解される
摂りすぎると
余剰分は脂質として蓄えられる
虫歯のリスクが高まる
脂質
体脂肪として体内に蓄えられる栄養素です。1グラムあたり9キロカロリーのエネルギーで、エネルギーとして変換されます。脂質と聞くと太る原因となるものといったイメージが先行しがちですが、脂質は身体の調子を整えるのに欠かせないホルモンの材料にもなるほか、マラソンなどの長時間の運動時にはエネルギー源になるなど、メリットも存在します。
魚に含まれている脂質は血液をサラサラにする働きがあります。これは、魚の脂には血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪の数を減らし、善玉コレステロールを増やす働きがあるためです。摂りすぎには気を付けなければならない脂質ですが、アスリートにとって大切な働きがある栄養素です。食事で摂る場合は質にもこだわりましょう。
不足すると
肌の乾燥
エネルギー不足
摂りすぎると
体脂肪を増やす
動脈硬化
積極的に摂りたい脂質
青背の魚、亜麻仁油、オリーブ油
なるべく避けたい脂質
時間のたった揚げ物油(酸化した油)、トランス脂肪酸
たんぱく質
人間の筋肉だけでなく、皮膚、骨、内臓、髪、爪を構成している栄養素です。
筋肉の主な材料なので不足すると筋肉量が減少してしまい、運動で筋肉や血液へのダメージを受けると必要量が増えます。
アスリートの場合は一般の人と比べると必要量も多いので3回の食事で補うことに加え、捕食でプロテインを補うなどたんぱく質が不足しないように心がけましょう。
1グラムあたり4キロカロリーのエネルギーで、主に食肉や魚、乳製品、大豆製品に多く含まれます。
不足すると
筋肉量が減少する
基礎代謝量が減少する
摂りすぎると
腸内環境の悪化
疾患によっては制限がある
ビタミン
少ない量で身体のさまざまな機能を調節する栄養素です。体内で作ることが出来ないので、食事やサプリメントで必要量を摂らなければなりません。
13種類のビタミンがあり、それぞれ身体の中で代謝を助ける働きや、骨や血液などの材料になる役割があります。
脂溶性ビタミン | ビタミンA | 皮膚や眼、粘膜の健康を保つ | |
ビタミンD | カルシウムの吸収を助ける | ||
ビタミンE | 抗酸化作用 | ||
ビタミンK | 血液凝固・骨や歯の健康に関わる | ||
水溶性ビタミン | ビタミンB群 | ビタミンB1 | 糖質の代謝、疲労回復 |
ビタミンB2 | エネルギー代謝、たんぱく質合成 | ||
ビタミンB6 | たんぱく質の代謝 | ||
ビタミンB12 | 貧血の予防 | ||
ナイアシン | 糖質・脂質の代謝を助ける | ||
パントテン酸 | エネルギー代謝、抗ストレスホルモンの合成に関わる | ||
葉酸 | 貧血の予防 | ||
ビオチン | 糖質や脂質、たんぱく質の代謝に関わる | ||
ビタミンC | 疲労回復や抗酸化作用 |
ミネラル
ビタミンと同様に、人間の身体の中で作ることができない栄養素ですが、身体の働きを助け、身体を構成する栄養素です。
・鉄
血液の材料となるミネラルです。血液中で酸素を全身に運ぶ役割があります。
サッカーや長距離選手などのアスリートは酸素を使ってエネルギーを作り出さなければならない分、必要となる酸素の量は多くなります。
そのため、酸素を全身へ送るための鉄分の量が不足しないように注意して摂りましょう。
効率よく鉄分を補給するためには、鉄分の含まれる食材と他の栄養が含まれている
食材との食べ合わせの相性にも注目しましょう。
ヘム鉄・・レバーや食肉、牛乳などに含まれている鉄分はヘム鉄と呼ばれ、吸収の良い鉄分として分類されます。
非ヘム鉄・・ほうれん草や小松菜、ひじきなどに含まれる植物性の食材に含まれる鉄分は非ヘム鉄と呼ばれ、ヘム鉄に比べると吸収力は下がるので、ビタミンCやたんぱく質と摂るようにすると、吸収されやすくなります。
カルシウム
骨や歯の材料になるだけでなく、筋肉の収縮、成長ホルモンの分泌に関わるミネラルです。
ほかにも神経伝達にも関与しており、瞬発力を高めたいアスリートには積極的に摂って頂きたい栄養素です。
カリウム
体内の水分量と浸透圧に関与する働きがあり、そのほかにも筋肉の収縮、神経の伝達に関与するビタミンです。
マグネシウム
筋肉の収縮や、骨や歯の形成をサポートする働きがあります。