スポーツ栄養学
ラグビー
競技特性
・身体のぶつかりが多く、迫力とスピード感が特徴
・攻守はチーム全員で行う
選手同士がぶつかり合い、試合の展開の早いラグビーは、格闘技と球技の両方の要素を併せ持ったスポーツです。
守備や攻撃専門のポジションはなく、チームのほぼ全員で攻撃を行い、守備も行う点は、アメリカンフットボールとの大きな違いとしても挙げられます。
ラグビー選手が目指す身体
・当たり負けしない強い身体
・大きいだけでなく、素早く動ける身体
ラグビー選手が身体を大きくするのは、相手の全力の体当たりから自分の身体を守るためでもあります。また、身体を大きくするように監督やコーチに指導される場面も多いようですが、ダッシュや方向転換などの素早い動きも要求されるラグビー選手の身体はただ大きいだけでなく、筋肉量を増やして機敏に動けることが求められます。
求められる能力
・当たり負けしない「パワー」
・試合後半でもバテない「スタミナ」
・相手の攻撃をかわす「瞬発力」「スピード」
ラグビーはボディコンタクトも激しく、全力疾走や方向転換やステップなど、パワーだけでなく、身体能力の高さが求められます。守備・攻撃の役割をチーム全体で取り組むことから、選手ひとりひとりがこれらの機能を高めておく必要があります。
勿論、激しいプレーでのダメージから身体を回復させるためのリカバリー力はケガを防止するためにも大切な要素です。
ラグビー選手の身体を作る食事
・当たり負けしない強い身体を作る
・瞬発力・俊敏性に働きかける食事
・疲労やケガの回復を早め、持久力を養う
・水分補給をしっかりと
夏場に体重が減少することもあるが、ラグビーの場合は夏に痩せてしまうと、オンシーズンに身体作りが間に合わなくなる恐れがあります。当たり負けをしない、強い身体で試合に臨むためにも、夏の時期の体重減少を抑える必要があります。
競技の特性上、どのポジションにいても俊敏性、パワーは必要な要素です。
食事でこれらの機能を高められる栄養素をしっかり摂り、日々の練習や休養などで体調管理を行うことも意識していきましょう。
ラグビー選手に必要な栄養素
アスリート共通の食事のコツです。様々な食材から摂るようにしましょう。
瞬発力・俊敏性を養う
・カルシウム・マグネシウム
カルシウムには神経の伝達物質の働きを調節する働き、マグネシウムには情報伝達物質の量をコントロールする働きがあると言われています。いずれも神経の働きには欠かせない栄養素です。
カルシウムが多く含まれる食材・・牛乳、ヨーグルト、ひじき、魚、小松菜、青梗菜など
マグネシウムが多く含まれる食材・・アーモンド、大豆、干しエビ
・たんぱく質
瞬発力を高めるためには強い筋力が必要です。筋肉を構成するたんぱく質を十分に摂りましょう。
当たり負けしない強い身体を作るには
丈夫な筋肉をつけること、骨を強くして身体の基礎をしっかりと作ることが大切です。
また、増量を行う際は、体脂肪ではなく、筋肉を増やす増量を心がけるようにしましょう。
・たんぱく質
筋肉だけでなく、骨や内臓、血液などの材料となるたんぱく質は一度の試合でエネルギー消耗も激しく、アスリートは一般の人に比べ、多く摂る必要があります。食事だけでは必要量を摂ることが難しい場合はプロテインやサプリメントも上手く活用して不足しないようにしましょう。
・ビタミンB6
たんぱく質を代謝させるのに必要な栄養素です。
食材・・鶏ささみ、マグロ、ピーマン、にんにく、バナナ
・カルシウム
骨折を防ぐためには、骨の材料となるカルシウムも摂っておきたい栄養素です。牛乳やヨーグルト、チーズはカルシウムが吸収されやすい食品なので積極的に摂りましょう。骨ごと食べられる、缶詰や小魚もおすすめの食材です。
食材・・乳製品、魚類、小松菜、海藻類
・ビタミンD
カルシウムと一緒に摂ることで、カルシウムの吸収効率を良くする働きがあると言われています。
食材・・きのこ類、鮭、うなぎ
疲労を回復し、持久力を養うには
走り込みなど、普段の練習量も多いラグビー選手は疲労回復にも気を付けなければなりません。常にベストな状態で臨むためにも、日頃から練習の疲労を翌日に持ち越さないように、しっかりと食事・休養を摂り、疲れに負けない身体を目指しましょう。
・糖質
試合の日など、固形のものを口に入れることが難しい場合は糖質の入ったスポーツドリンクで、水分と一緒に糖質を補いましょう。
・ビタミンB1
糖質をエネルギーに変えるときに必要になるビタミンです。リカバリーにも関わる重要な栄養素の一つです。不足すると食欲不振や倦怠感、疲労が抜けにくくなるので積極的に摂るように心がけましょう。
食材・・豚肉、うなぎ、アーモンド、焼きのり、タラコ、など
・クエン酸
エネルギー代謝の中心になる役割があります。柑橘系の果物や食酢に含まれています。食酢の酸味が食欲の増進に繋がり、食の細くなる夏の時期には酢の物や南蛮漬けなど、酢を料理に使うことで夏バテ防止も期待できます。
・ビタミンC
皮膚やコラーゲンの合成に関与し、ケガの治りにも関わるビタミンです。また、抗ストレスにも必要な栄養素なので、試合の時などプレッシャーのかかるシーンがあるラグビー選手には是非積極的に摂ってもらいたい栄養素です。
食材・・柑橘類、じゃがいも、ブロッコリー、ゴーヤー、いちご、キウイフルーツ
ボディコンタクトの多いラグビー選手は特に貧血の対策が必要
鉄分は酸素を全身の細胞に届ける組織の原料で、不足すると低酸素状態となり、身体機能を低下させると言われています。激しい運動で汗をかくと、鉄分も汗と一緒に排出してしまいます。また、足部が地面と衝突することでも鉄分が失われます。これは、足の裏には血管が集合しており、衝撃を受けると赤血球が壊れやすくなるためです。その他にも、ラグビー選手の場合は相手のタックルなど、ボディコンタクトを受けた際、毛細血管が押しつぶされて赤血球が破壊されることから、貧血には特に気を付けなければなりません。
・鉄分
効率よく鉄分を補給するためには、鉄分の含まれる食材と他の栄養が含まれている
食材との食べ合わせの相性にも注目しましょう。レバーや食肉、牛乳などに含まれている鉄分はヘム鉄と呼ばれ、吸収の良い鉄分として分類されます。また、ほうれん草や小松菜、ひじきなどに含まれる植物性の食材に含まれる鉄分は「非ヘム鉄」で、ヘム鉄に比べると吸収力は下がるので、ビタミンCやたんぱく質と摂るようにすると、吸収されやすくなります。
ヘム鉄・・レバー、牛もも肉、しじみ、あさり、かつお、まぐろ、鮭、牛乳など
非ヘム鉄・・ほうれん草、小松菜、納豆、小松菜、昆布、切り干し大根など
こまめに水分補給をし、脱水を防ぐ
おおよそ体重の2%の水分を失うと、試合中のパフォーマンスが低下すると言われています。汗をかくことによって体温を調節し、血液の循環を円滑に行っているため、身体の水分が足りなくなると、これらの動きに影響が出ます。また、汗によりやミネラルも流れるので、足のつりにも注意しておきたいところです。炎天下で競技が行われる場合は特に気を付けるようにし、水分補給の際にはスポーツドリンクも活用し、水分と一緒に失われたミネラル(カリウム・カルシウム・ナトリウム)を補給しましょう。練習中はこまめに水分を補うなど、こまめに補給しましょう。
カリウム・カルシウム・ナトリウム
筋肉の収縮時にも必要なミネラルです。
まとめ
・攻守に特化したポジションがないので、総合的な能力が求められる
・シーズンに向けて相手の攻撃に負けない、強い身体を作る
・練習中・試合中も糖質と水分補給をしっかりと
相手のタックルにも負けず、攻撃や守備をチーム全員が全力でぶつかりあうラグビーは派手なプレーの裏で、常に脳震盪などのケガのリスクと隣り合わせです。ケガを防ぐために必要な集中力やスタミナもしっかり食事やサプリメントで補うよう心がけましょう。身体を大きくすることも求められるラグビー選手は特に自分の身体と向き合う必要があります。ビーレジェンドはすべてのラガーマンの身体つくりをこれからも応援し続けます。