ビーレジェンド商品に同梱される【リアスタ通信】に連載されており、初心者から上級者まで大人気の「ひげセンセの筋肉教養講座」のバックナンバーを掲載!外科医でありながらコンテスト優勝経験もある浅見先生の記事は勉強になること間違いなし!
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お尻、臀部は、男女を問わず、ヒトの身体で最も見られる、いや、見つめられているパーツ。衣服でも隠せない。
特にジーンズなど露骨にその形を見せつける。脂肪のない背中やたるみのない腕を露出させたドレスを着ても、トロンと垂れ下がったお尻では魅力は半減する。
緊張感があり上部から後方にかけてぴんと張っている美しいお尻はどうやって”造られる”だろう。今回は、お尻の解剖とそのトレーニングについて語って見たい。
お尻の発生比較解剖学
お尻の主役は、大臀筋。骨盤後方を「大きく」覆う。
骨盤は女性の方が幅広いので当然大身体全体の中での臀筋も大きくなる。
大臀筋は、骨盤の上から内側、そして背骨の下方(仙骨と尾骨)から広く起きる。そして他の臀筋や背筋の腱膜、骨盤深部の筋群や大腿側面の巨大な腸脛靭帯、ハムストリングと筋膜で繋がりながら、最後に大腿骨後ろ側に終わる。
大きすぎるので、大腿骨に巨大な突起ができている(大腿骨粗面という)。
背骨を持つ動物の中でも哺乳類の中でも、そして類人猿の中でもヒトほどの大臀筋は持っていない。すなわちしっかり二本足で立って、しゃがんで、大地を蹴って動けるために「できてきた」進化的に新しい筋肉なのだ。
骨格筋の進化の原則通り進化的に古いものほど深い場所にあり小さい。小臀筋や中臀筋を覆う大臀筋然り。ワンちゃんもゴリラもうんちしてもお尻を吹かなくていい。それは大臀筋が「未熟」だから。
本来、四つ足動物の四つの突起、「脚」の蓋は上肢では三角筋、下肢では中臀筋で十分だった。しっかり二本足で立って大地を蹴るために”後付け”で発達させた筋肉、それが大臀筋なのだ。
トレーニングの基本は美しく立つこと
様々なグルートマシンがある。筋肉のスクイーズ感も得られる。
最も大切なのは背骨のカーブと連携して鍛えること。
立ち、しゃがむ、蹴るための「後付け発達」してきた筋肉だから、背骨と骨盤を支配する筋群全ての神経系を「まとめて」コラボさせるスクワット、ランジが最も効果的。
少しつま先を外に向けて動作を行うと臀部に収縮を感じやすい。股関節を中心に外へ捻る感覚だ。ウエイトに拘らず、バランスよく繰り返し行う。
大臀筋は筋繊維の「束」も太く、脂肪が落ちてくると深みが増し立体感が出てくる。そのための最大限のスクイーズ感を得るためにキックバックやマシンが有効。
大臀筋の神経支配は、脚そのものを股関節から見たら「外に捻り(外旋)ながら伸ばす(伸展)」ことが基本。
後ろに蹴りながら下腿、足首、そして指先までも外向きに捻り伸ばしてみる。
器用な人ばかりではない、できなければ最初はレグプレスマシンで片足ずつ、丁寧に深めに、大腿骨を外側に向けて捻ってみる。スミスマシンランジでも良い。
グルートマシンがなければ外転系脚マシンでしゃがんだ状態から立ちながら足を開く。ケーブルクロスマシンの下から引くハンドルと足首をタオルなので繋ぎ持続的負荷でハムも利用して後ろにキックバックしても効果的。
強い収縮感をいつも感じること。大臀筋が付く骨盤そのものを動かすことも大切だ。
自由度の高い仙腸関節と腰椎カーブを利用する。鏡とパートナーの助けを借りて、骨盤を捻る、傾ける。
うまく前に傾けるためには腰椎に強い刺激が加わるので背筋に異常な不愉快さ、時に痛みを感じるが大丈夫。
中南米では思春期、成長期に女性にこれをさせて骨盤を前に傾け大きい臀部を持ち上げる教育をする。
タレ尻にならないためのマッスルコントロール。左右から肛門を閉じるようなイメージでハイパーバックイクステンションをする。
パートナーに肛門近くまで指を近づけてもらい、その指を大臀筋で挟み込むイメージ。
要はしゃがんで立ち、ランジで蹴り立ち上がり、神経系を刺激し発達させながら、大臀筋の密度アップを計り、骨盤を前に傾けることで大臀筋を持ち上げる。
歩くときも「内また」ではなく外またで歩いてみよう。大腿骨が外旋し、大臀筋の活動も増える。
道端で立ったまま、人が見ていない時(苦笑)、肛門を中心にX字になるように四肢を伸ばしたまま10秒数えてみよう。大臀筋でできた美しい隆起への千里の道も一歩から。