摂り過ぎに気を付けたいミネラルと身体に起こる影響
前回不足に注意してほしいミネラルを紹介しました。
しかしミネラルは摂り過ぎてしまうことでも身体に悪影響を及ぼす可能性があります。
今回はそのような摂り過ぎに注意してほしいミネラルを紹介します。
普段サプリメントなどを摂取する機会が多い方はぜひ確認してください。
摂りすぎ注意のミネラル
①ナトリウム
ナトリウムは食塩の主な成分です。
私たちの身体では
- 体内の水分調整
- 血圧の調節
といった働きがあります。
ナトリウムを摂り過ぎてしまうと高血圧やむくみの原因になります。
日本人はお漬物やお味噌汁など味の濃いものを口にする機会が多く、食塩が比較的過剰になりやすい傾向があります。
日本人の食事摂取基準2020では
15歳以上の男性1日7.5g未満
12歳以上の女性1日6.5g未満
と基準が定められていることもあり、過剰摂取には気を付ける必要がある栄養素です。
しかしナトリウムは汗と一緒に排出されるミネラルなので、たくさん汗をかくスポーツや部活動をしている人は不足する可能性があります。
ナトリウムが極端に不足すると熱中症のリスクが高まってしまいます。
汗をかいたなと感じる場合はスポーツドリンクなどでしっかりと補給しましょう。
②マグネシウム
マグネシウムは
- 体内で起こる全ての代謝に必要不可欠
- 酵素や補酵素など身体の消化や代謝に必要な成分の原料
- カルシウムと一緒に骨や歯の形成に関わる
といった特徴の栄養素です。
海藻類、ナッツ類、大豆製品といった普段の食事に含まれる栄養素なので摂り過ぎてしまう傾向が強いです。
マグネシウムを摂り過ぎてしまうと下痢を引き起こす可能性があります。
一般的な食事をしていると不足の心配が少ない栄養素なので、サプリメントなどでの過剰摂取に注意しましょう。
③リン
リンには
- 身体のエネルギー産生を助ける
- 骨や歯の構成成分になる
といった働きがあります。
私たちの身体は栄養素を摂って身体を動かすために、代謝を繰り返しながらクエン酸回路を通ります。そして、その代謝の過程でリンが必要になります。
リンは食品添加物に多く含まれるミネラルです。
カップラーメンやスナック菓子などをたくさん摂る人は食品添加物をたくさん摂ることになるので、リンを摂り過ぎる傾向にあります。
リンを摂り過ぎると骨の材料になるカルシウムの吸収を阻害する作用が働いてしまいます。
④セレン
セレンは強い抗酸化作用を持っており老化を防ぐ働きがあります。
魚やお肉といった身近な食品から摂取しやすいミネラルなので不足の心配はほとんどありません。
しかし摂り過ぎると
- 爪が変形する
- 髪の毛が抜ける
といった症状が出る可能性があります。
普段の一般的な食事で摂り過ぎる心配はあまりありませんが、サプリメントからたくさん摂っていると過剰症のリスクが高まるので気を付けましょう。
摂り過ぎや不足の心配が少ないミネラル
①銅
銅には
- 体内での酸素の運搬
- 老化の原因である活性酸素の除去
といった働きがあります。
銅は魚介類やナッツ類に含まれます。
必要な量が微量で身近な食事から摂ることができる栄養素なので、日頃からバランスの良い食事を心がけていれば不足の心配はありません。
②クロム
クロムは糖質やコレステロールの代謝をサポートする栄養素です。
糖質の代謝をサポートするインスリンの分泌とインスリンの効果を高める働きがあります。
クロムは海藻類や大豆製品に多く含まれるため、日本人の食事では不足の心配が少ないです。
また仮にたくさん摂ったとしても毒性の低いミネラルであるため、過剰摂取によって身体に悪影響を及ぼす心配もありません。
③マンガン
マンガンには消化や代謝をサポートする酵素の働きを活性化する働きがあります。
身体の様々な機能の維持に関与しサポートしてくれる重要な栄養素です。
骨ごと食べられる小魚やナッツ類に多く含まれ、一般的な食事をしていれば不足の心配は少ない栄養素です。
④モリブデン
モリブデンは酵素の材料になる栄養素で、肝臓や腎臓に多く存在しています。
豆類や豆製品などの日本人が比較的食べる機会がたくさんある食べ物に多く含まれるため、基本的に不足の心配はありません。
仮にたくさん摂ったとしても毒性の低いミネラルであるため、過剰摂取によって身体に悪影響を及ぼす心配もありません。
⑤ヨウ素
ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料になる栄養素です。
甲状腺ホルモンを構成することで身体の新陳代謝を促してくれます。
またヨウ素は皮膚や髪の毛の健康にも関係しているミネラルです。
海藻類に多く含まれ、比較的海藻をたくさん食べる機会がある日本人には不足しにくいミネラルです。
まとめ
〈摂りすぎ注意のミネラル〉
①ナトリウム
高血圧やむくみの原因に
②マグネシウム
下痢を引き起こす可能性が
③リン
骨の材料になるカルシウムの吸収を阻害する作用が働く
④セレン
爪の変形、脱毛の可能性が
〈摂り過ぎや不足の心配が少ないミネラル〉
①銅
②クロム
③マンガン
④モリブデン
⑤ヨウ素
ミネラルは摂り過ぎても不足しても身体に悪影響を与える可能性があります。
ミネラルはいろんな食材に含まれるので、使う食材をたくさん組み合わせると基本的には不足せずバランスよく摂ることができます。
そのため日ごろからバランスの良い食事を心がけましょう。
特にダイエット中や減量中で食事制限をしている人は食事のバランスが崩れやすいので、極端な不足に気を付けましょう。
また、ミネラルの不足で熱中症を発症することもあります。
汗をたくさんかいた時はただの水ではなく、ナトリウムなどのミネラルを含むスポーツドリンクなどで汗と一緒にでたミネラルを補いましょう。