トレーニングやスポーツで筋肉が疲労したときに「乳酸がたまる」という言葉を使ったことがある方も多いと思います。この言葉からも分かるように、多くの人の中に「乳酸は疲労物質である」という考えがあるのではないでしょうか。確かに血液中に乳酸が多い状態のときは身体が疲労していることも多いのですが、最近では「乳酸=疲労物質」という考えは否定されています。
そこで今回は乳酸ができる仕組みと、その役割について解説します。
なぜ「乳酸は疲労物質」と考えられていたのか
乳酸が疲労物質と考えられていた理由は「疲労した状態のアスリートを血液検査したら乳酸が多かった」ことからといわれています。
実際にトレーニング後疲労した状態のアスリートを検査すると乳酸値が高いことが多いのですが、乳酸値は運動後30分~1時間で平常時の数値に戻ります。30分~1時間という短時間でトレーニングの疲労から回復することは考えにくいため、乳酸の量は必ずしも疲労と関係するわけではないという考えが主流となっています。
乳酸は運動時のエネルギー
では乳酸はなぜ発生し、どんな役割があるのでしょうか。
人間のエネルギー産生の仕組みは、大きく分けて
- クレアチンリン酸を使うもの
- 糖質を使うもの
- 脂質を使うもの
の3種類に分類されます。
低強度の運動では③の割合が大きいのですが、運動強度が上がっていくにつれて②の割合が増えていき、全力を出すような超高強度の運動では①の割合が大きくなります。中~高強度の運動時にエネルギーとなる糖質が増えてくると、副産物として乳酸が発生します。そしてこの乳酸もエネルギーとして使われることが現在では分かっています。
そのため乳酸は疲労物質のようなマイナスのものではなく、むしろプラスになるものなのです。
このようにトレーニングに関する理論は日々更新されていますので、新たな発見があればまたシェアしたいと考えています。
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