フィジークとボディビルって何が違うの?
今回はそんなあなたの疑問にお答えします。
最近は様々な団体がボディメイク系の大会を開催するようになり、ボディビルだけだった一昔前と比べると大会出場のハードルが下がっています。中でも「フィジーク」というカテゴリ(正確にはメンズフィジーク)の人気が特に高まっており、フィジークの大会に出てみたい、フィジーク選手のような身体になりたいといった声もよく聞きます。しかし同時に、フィジークとボディビル両方で優勝経験のある私のもとには、
「大会時のコスチューム以外にフィジークとボディビルに違いはあるのか?」
という質問がよく寄せられます。
フィジークはハーフパンツをはいてボディビルはブーメランパンツをはく、という程度の認識の人も多いはず。そこで今回はフィジーク・ボディビル両方で活動する現役選手の立場からフィジークとボディビルの違いについて説明します。
フィジーク(メンズフィジーク)の特徴
フィジークではボードショーツ・サーフパンツというハーフパンツ型の水着をはいて肉体美を競う競技です。一言で説明するとフィジークで評価される身体は「ビーチでカッコいい!と言われる、美しいトータルパッケージの肉体」なのですが、この身体を作るためには、
- 綺麗に割れた腹筋
- 広い肩幅から細く締まったウエストのライン(Vシェイプ)
- 逆三角形の背中
が必要です。フィジークでは脚がパンツで隠れるため下半身はほとんど審査されません。また、ボディビルのような過度の筋肉量や減量は減点対象となってしまいます。
また「トータルパッケージ」というのがくせ者で、身体はもちろん髪型やパンツのデザインも含めた全体的なカッコよさが審査のポイントとなるのです。
ステージ上のポーズに関しては、腹筋など必要な部分はしっかりと力を入れながら自然な笑顔と力みのない自然体でいることが要求されます。全身がちがちに力を入れていては評価されません。ポーズの種類もシンプルなためごまかしがきかず、肩幅の広さやウエストの太さといった生まれつきの要素によって向き不向きが分かれてしまう面も。
フィジークで評価されるためのポイント
- 割れた腹筋
- Vシェイプ
- トータルパッケージを意識した、爽やかで自然体のポージング
ボディビルの特徴
ボディビルも「カッコいい身体」という意味ではフィジークと一緒なのですが、ボディビルの方が筋肉量やカット(筋肉のミゾ)による迫力がより重要なポイントとなります。またブーメランパンツ(ボディビルパンツ)をはくため下半身も審査されるのが非常に大きな違いです。
ポーズの種類もフィジークより多く、特に身体の厚みを見られる局面が多いため、フィジークと比べるとより丸々としてギュッと詰まったような感じの筋肉が求められます。そのためフィジークよりも筋肉量や体脂肪の少なさによるカット(筋肉のミゾ)が重視される傾向にあります。バランスを崩さない限り基本的に筋肉は大きければ大きいほど良い、体脂肪が少なければ少ないほど良いため、フィジークに比べて骨格やプロポーションによる不利な面をカバーしやすいといえます。
ボディビルで評価されるためのポイント
- 広い肩幅、細く締まったウエスト、太い脚がつくるライン(Xフレーム)
- 筋肉量とカットによる迫力
- 筋肉の厚み、丸み
カッコいい身体、筋肉のついた身体を競うという面では同じボディメイク競技ですが、フィジークとボディビルでは求められるものが違います。それぞれの特徴と自分の特性を理解して、向いている・出てみたいと思える競技に出場することをおすすめします。