ビーレジェンド商品に同梱される【リアスタ通信】に連載されており、初心者から上級者まで大人気の「ひげセンセの筋肉教養講座」のバックナンバーを掲載!外科医でありながらコンテスト優勝経験もある浅見先生の記事は勉強になること間違いなし!
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美しいお腹を創る
ウエイトトレーニングは、力を付けるためだけではない。丁寧に行えば身体の形を変える事ができる。腹筋トレーニングも同じ事。腹部を見つめ直して、たるんでいる腹部をなんとかしてみよう。
腹部の筋群を知る
胴体の前側よりの部分を「お腹」または「腹部」という。人間の身体は胸郭の構造物が基本形だが、腹部は肋骨を「捨てた」。胸郭と同じように大切な内臓を守らないといけない。だから長い腹直筋を胸郭から骨盤の底まで大切な膜に包んで(腹直筋鞘)跨がせた。左右からは、肋間筋と同じように外腹斜筋、内腹斜筋で「たすきがけ」。もう一枚一番深い所に腹横筋を備えている。すべての筋群が胸郭と骨盤を繋ぐ。腹直筋の個性的な腱画は、肋骨が退化した「路」で、数に個人差があり(6パック、4パック、多い時は8パック)、左右から筋肉が伸びて正中で手を繋ぐので、その腱画が左右ずれている人が居るのは当然。
トレーニングの要領
いかに胸郭を骨盤にしっかり近づけるか、それを意識できるかが一番のポイント。胸郭が「畳まれない」、骨盤の底が回旋してこないことで収縮感に違いが出る。腕を万歳する、臀部から下をベンチから出してみることで、「プレストレッチ」となり胸郭と骨盤の位置を変えて収縮伸展度合いを変化させる。何百回も同じレップスをこなせることは効いていない証拠。他の骨格筋と同じ短時間で少ないレップでいかにバーンを感じられるか。感じられない種目は自己満足に過ぎない。ケーブルやレバレッジマシンも積極的に活用する。胸郭側をメインに近づけるシットアップ、骨盤側を近づけるレッグレイズなど付着部位を考えて長い腹直筋を主役に攻める。胸郭を捻ることで、外内斜筋の動員率も上げる。股関節を曲げ膝を立てることで腰に付いている腸腰筋を「弛ませて」から腹直筋を主役に行うこともできるが、あえて膝を立てないバリエーションも有効。なぜなら腸腰筋は腰の大切な「スタビライザー」。鍛えない手はない。
ダイエットと組み合わせる
腹部は脂肪が溜まりやすい。脂肪は保温、クッション効果があるからだ。浴びるほど酒を飲み、スイーツや油物を食べ続けていては腹筋だけでなく身体も変わって来ない。筋肉の密度を出すには、やはりカロリー制限が必須。まずは、油物を少なくする。夜間の炭水化物を避ける。それだけで確実な変化を感じるはず。サプリメントは疲労感が強ければプロテイン、アミノ酸類かマルチビタミン。
ファットバーナーは不要。サプリに頼ってできた腹筋など砂上の楼閣。
イメージを大切に
一度締まってくると、筋肉は意識しやすい。普段から運転中、通勤途中に腹部に力を入れたりする「エアトレ」も有効。いつも風呂上がりや起き抜けに腹部の締まり具合をビジュアルに確認しながら、毎日「胴体」周りを指で触って刺激していく。ボデイビルの基本ポーズであるアブドミナルアンドサイは、腹部全体を収縮させるマッスルコントロールには役立つ。息を吐きながら収縮させてもっと吐ききる動作で強いバーンを意識できるようになる。腹部を決して隠してはいけない。鍛えたい場所、変えたい場所こそ、人眼に曝す。
くびれとは
胸郭と骨盤の間には筋肉しかない。内臓を筋肉で包んだ丸い筒である。骨盤の外への張り出し、胸郭の大きさの違い、そして筋肉群とくに腱部の微妙な違いが、くびれの個人差となってくる。どれだけ絞っても寸胴な人もいる。強度の高いウエイトトレーニングは胸郭を広げる。腹部筋群の深み密度アップが丸い胴体に立体感を創り「くびれ曲線」を変えることができる。男女を問わず美しい腹部にはその人の想いの歴史が詰まっている。千里の路も一歩から。
筆者 プロフィール
浅見尚規(あさみなおき) 昭和32年生まれ
宮崎市在住
経歴:昭和57年宮崎大学(旧宮崎医科大学)医学部卒業
専門分野 脳脊椎脊髄外科
昭和57年からボデイビルを始める。ミスター東九州、ミスター広島(いずれもNBBF)優勝、NGAマスターズ優勝(USA)のタイトル 41歳で競技引退
平成25年まで某ボデイビル月刊誌にて連載 筋トレセミナーを各地にて開催
その他、三輪書店、メディカルビュー社から外科手術用教科書執筆(共著)
趣味:ボデイビルトレーニング、筋トレマシン収集、読書、ピアノ