こんにちは、今回は代謝を上げる為にするべきことについて説明させて頂きます。
普段パーソナルトレーニング指導をしている中で、お客様からよく言われることが「代謝が下がってきたので上げたい」「代謝が下がってきたから太ってきた」などのご相談を頂きます。代謝を上げたい目的は人それぞれですが、その中で最も多い目的の一つがダイエットです。ダイエットで体重を落としていく上で重要な事は、消費カロリーが摂取カロリーを上回るという事です。ですので、この「代謝」が上がるという事は、全体の消費カロリーが増えて結果的に太りにくく、痩せやすい身体になるということです。代謝を上げる為に運動をして筋肉をつけるという事は大切ですが、それ以外に今回はもう少し具体的に「代謝」を上げるとはどういう事なのかを説明させて頂きたいと思います。
そもそも「代謝」って何なの?
まず初めに、この「代謝」を簡単に説明させて頂くと「生命は酸素、栄養素を取り込み消化、吸収しエネルギーを生み出し身体を動かす。そして不要なものを排出する一連の流れ」を言います。よって代謝が良いというのは、この一連の流れがスムーズに行われている状態のことを言い、逆に代謝が悪い、代謝が下がっているという事は何らかの障害でこの流れがスムーズに行われていない状態という事になります。
「代謝」の種類について
基礎代謝
基礎代謝とは生命を維持するために最低限必要なエネルギーのことを言います。
私たちはじっとしているときでも、心臓などの内臓や脳・神経のはたらきや、呼吸などを正常に保つためにエネルギーを必要とします。基礎代謝は1日の消費エネルギーの約60%を占めるとされており、基礎代謝には多くのエネルギーが必要となります。
活動代謝
活動代謝とは基礎代謝以外のすべての身体活動によって消費される代謝を意味します。
人はそれぞれ身体活動量が違いますが、全ての代謝を占める割合の約20~40%が活動代謝と言われています。筋力トレーニングやスポーツ、ウォーキングなどの運動を行う時に発生する代謝はもちろんですが、普段の日常生活における全ての活動、家事や仕事などで身体を動かす時に必要とされる代謝もこの活動代謝に含まれます。
食事誘発性熱産生
食事をすると消化のため内臓が活発に活動します。体内に吸収された栄養素が分解されその一部が体熱となって消費されます。このため食後は安静にしていても代謝量が増えます。全ての代謝の約10%が食事誘発性熱産生となります。
「代謝」を上げるために行う事
基礎代謝を上げる為に行う事
基礎代謝を上げる為には「筋肉を増やす」ことが重要だと言われます。結論から言うと、筋肉を増やせば基礎代謝は上がります。筋肉をエンジンだと例えると、食べたものをガソリンだとします。そのエンジンが大きければ大きいほどガソリンの消費が多くなります。なので、必然的に筋肉量を増やすと消費エネルギーが多くなり基礎代謝があがると言うことになります。しかし普段から筋力トレーニングを行っている方でしたらお分かりになると思いますが、筋肉を増やすことはそう簡単な事ではありません。効率よく筋力トレーニングを行ったとしても筋肉を1㌔増やす為には十分な時間や絶え間ない努力が必要になってきます。ただ基礎代謝にも各体組織において占める割合があり、WHOなどの研究によるとその内訳は、肝臓が約27%、脳が約19%ついで骨格筋が約18%となっており、基礎代謝のうち、筋肉が占める割合は、全体の2割程度です。そのような点から筋肉を増やすという事だけを意識するのではなく、普段からしっかりと筋肉を動かしてエネルギーを使い、食事から栄養を摂取して、休養し回復させる。そして日々、肝臓や内臓から筋肉にエネルギーを運ばれやすい状態にするという意識が大切になってきます。その為には「運動、栄養、休養」の3つのバランスを意識し、適度な運動、栄養摂取と睡眠など規則正しい生活習慣が大切になってきます。
活動代謝を上げる為に行う事
人はそれぞれ生活環境などによっても身体活動量が違いますが、全ての代謝を占める割合の約20~40%が活動代謝と言われています。この活動代謝を上げるためには運動によって身体を動かすことが大切になってきますが、ただ普段から運動を行う事はそれぞれの生活リズムや環境から簡単な事ではありません。この活動代謝には大きく2種類あり、運動による身体活動と運動以外による身体活動(生活活動)に分けることができます。そして、この運動以外の身体活動で消費されるエネルギーのことをNEAT(Non-Exercise-Activity Thermogenesis)の略称 と言い、日本語では非運動性(活動)熱産生と言います。身体活動における生活活動とは、日常生活の中で行う運動以外の活動のこと全てをさし、仕事や洗濯・掃除・料理・買い物・犬の散歩・ゴミ出しなどの家事、子供と遊ぶ・子供の世話、子供の送迎などの育児、買い物のための移動で行う歩行や階段昇降などがこれにあたります。普段の生活の中で個々の生活環境によって違いはありますが、運動以外に、この活動代謝を高める為にはNEATの時間を高めていくことが重要になってきます。仕事や家事が忙しく運動ができなくても、普段の生活の中で、買い物に行くのに近くのスーパーには車を使わずに歩いて行く事や、エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を利用するなどちょっとした事を積み重ねることで活動代謝は高めることができます。もちろん運動を行える方はウォーキングや好きなスポーツ、身体にちょっとした負荷を与えるような筋力トレーニングを行うと、より活動代謝を高める事が出来ますので普段の生活の中で意識することが大切です。
食事誘発性熱産生を上げる為に行う事
私たちは普段から何気なく食事をしていますが、食事をすると消化のため内臓が活発に活動します。体内に吸収された栄養素が分解され、その一部が体熱となって消費されます。このため食後は安静にしていても代謝量が増える、この代謝が食事誘発性熱産生なのですが、この食事誘発性熱産生を高める為に重要な事は、まず普段の食事から三大栄養素を中心に食事をバランスよく摂取することが大切です。その中で更に重要なポイントが各栄養素によって発生する食事誘発性熱産生の割合が違ってきます。糖質、脂質、タンパク質の三大栄養素それぞれの食事誘発性熱産生ですが、糖質が約6%、脂質が約4%、そしてタンパク質が約30%です。これがどういうことかをカロリーで例えると、タンパク質が約25g含まれるお肉、約を摂取した時に、そのお肉が体内に吸収され、分解されて一部が体熱となって全体のカロリーの約30%分(約30㌔カロリー)は消費するということになります。食事を摂取した際に身体が熱くなった経験がある方もおられるかと思いますが、私たちは食事をしながらエネルギーを消費しているのです。ダイエット中は高たんぱく質の食事が推奨されていますが、なぜタンパク質が重要なのかは、この食事誘発性熱産生を高める事ができるからという事も理由の一つになります。上記の理由から、普段の食事の中で三大栄養素をバランスよく摂取し、よりタンパク質を意識して摂取することで食事誘発性熱産生を高め代謝を上げることは可能となります。
まとめ
今回は代謝についての説明でしたが、代謝を上げるうえで重要な事は運動や筋肉をつけるだけではなく、普段の日常生活で身体を動かす意識や、毎食の食事内容でタンパク質を中心とした食事を心がけるなど、ちょっとした事の積み重ねで「代謝」は少しずつ高めていく事が出来ますので、生活環境に合わせながら無理なくできる範囲で行って頂ければと思います。