オーバーワーク(トレーニングのやりすぎ)は存在するの?
トレーニングは追い込みすぎない方がいいの?
今回はそんなあなたのお悩みにお答えします。
こんにちは、ビーレジェンド大林です。
「トレーニングに関して、[追い込みすぎるとトレーニングのし過ぎによるオーバーワークになるから良くない]という意見や、逆に[オーバーワークなんて存在しないからとにかく限界まで追い込んだ方が良い]という正反対の意見を目にしました。大林さんのオーバーワークに関する意見を教えてください。」
とお客様から質問をいただきましたので、これにお答えします。
オーバーワークは存在するが限界まで追い込む姿勢でトレーニングすべし
私個人の見解としては、「オーバーワークは存在するが、趣味でトレーニングしている方がオーバーワークに陥る可能性は低いためしっかりと追い込む方が成果は出やすい」と考えています。
医学の用語で「スポーツなどによって生じた生理的な疲労が十分に回復しないまま積み重なって引き起こされる慢性疲労状態」のことを【オーバートレーニング症候群】と呼びます。
これはオーバーワークによって身体に不調をきたしている状態なので、オーバーワークは確かに存在します。
ただし、【オーバートレーニング症候群】に陥るのはほとんどが毎日厳しいトレーニングをしているアスリート。趣味で鍛えている方がアスリート並みのハードトレーニングを続けるのは非常に難しいため、基本的には毎回のトレーニングで限界近くまで追い込むことが成長の近道です。
筋肉の成長には翌日以降に疲労が残るような刺激が必要
筋肉量や筋力向上させるためには、
【過負荷の原則】(トレーニングを行うときは、ある一定以上の負荷をかけないと身体は強くならない)
【漸進性の原則】(トレーニングの負荷や難易度は少しずつ高めていく)
という2つの原則にのっとったトレーニングが必要です。つまり、毎回同じ重量・回数・セット数のトレーニングを行っていても身体がその負荷に慣れてしまい効果が現れにくいといのです。
これらの原則をクリアするようなトレーニングを行うと、一時的に疲労によってパフォーマンスが落ちる状態になります。これを【オーバーリーチング】といい、効率よく筋肉をつけるために必要な要素です。
オーバーリーチングを起こすためには翌日に疲れが残るような高い強度でトレーニングすることが重要です。趣味でトレーニングしているような方は限界まで自分を追い込むつもりでトレーニングに臨む方が良い結果が出やすいでしょう。
負荷をかけたら次回のトレーニングまでに回復させることが重要
【オーバーリーチング】を起こすような負荷でトレーニングを行った後は、そのダメージから身体が回復するよう栄養補給や休息が必要です。適切な休息をとり、身体に栄養を送り込むことで身体は強い負荷に適応し、筋肉量や筋力の向上という反応が起きるのです。
たんぱく質や炭水化物の量が少なかったり、夜更かししたりすると回復が遅くなってしまい、普段ならきちんと回復できる量のトレーニングでもリカバリーできなくなってしまうことがあります。
このように【オーバーリーチング】から身体が回復しきらないまま次のトレーニングを行うと徐々に疲労が蓄積されていってしまいます。これを【オーバーワーク】といいます。
回復不足が続くと深刻な体調不良も
【オーバーワーク】の状態でのトレーニングが続くと疲労やストレスからホルモンバランスを崩し、深刻な体調不良に陥る危険性もあります。オーバーワークによってさまざまな症状を発症した状態を【オーバートレーニング症候群】といい、ここまでくると医療機関での治療が必要となります。
症状の例としては、
- 競技成績の低下
- 疲れやすさ
- 全身の倦怠感
- 睡眠障害
- 食欲不振
- 体重の減少
- 集中力の欠如
- 安静時の心拍数や血圧の上昇
などがみられます。
特に疲労症状が高まるにつれて起床時の心拍数が増加するといわれており、オーバートレーニング症候群を早期発見する目安となります。
また、アスリートが競技やトレーニングへのモチベーションを失ってしまう「燃え尽き症候群」もオーバートレーニング症候群の一種といえるでしょう。
限界突破を目指して追い込みながらも疲労やストレスのチェックを
最悪の場合このように医療機関の受診が必要な事態に発展する恐れがあるものの、趣味でトレーニングしている方でオーバートレーニング症候群に陥ることはほとんどありません。私はボディビル競技に出場するためコーチの決めたハードなトレーニングをこなしていますが、オーバートレーニング症候群になった経験はありません。周りの競技者でもそのような話は聞かないので、相当厳しいトレーニングを長期間継続しない限り体調を崩すことはないと考えた方がよさそうです。
しかし、睡眠不足や不十分な栄養摂取、トレーニング外の強いストレスといったイレギュラーな要因からトレーニングからの回復が間に合わない状況が続くとオーバーワークやオーバートレーニング症候群になってしまう可能性もあります。
「突然トレーニングの重量が大きく落ちた」「食欲が急激に低下した」「トレーニングへのモチベーションが急激に低下した」などの症状が出た場合、オーバーワークに陥っている可能性がありますので、2週間~1ヶ月程度トレーニングを休むことをおすすめします。
詳しくはこちらのYouTube動画もご覧ください⇒
まとめ
- 過負荷の原則、漸進性の原則に基づいたハードトレーニングが成長には必要
- トレーニングで【オーバーリーチング】の状態をつくり、回復することで筋肉量や筋力が向上する
- オーバーリーチングから回復しきらずトレーニングをしている状態を【オーバーワーク】という
- オーバーワークによって治療が必要な症状を発症した状態を【オーバートレーニング症候群】という
- 追い込むトレーニングが基本だが疲労やストレスのチェック、適切な栄養摂取と休息が必要
真面目な方、トレーニングが好きな方ほど「やればやるほど成果が出るだろう」という考えになりがちです。栄養摂取や休息がおろそかになってしまうと効果が思うように出ないどころか体調を崩してしまうこともありますので、限界まで追い込むという気持ちでトレーニングを頑張りながらも栄養摂取や休息にも目を向けるようにしましょう。