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【ひげセンセの健康を学ぶ】第7回 顔の造り(作り)方

訳のわからないパンデミック騒ぎも収束し、人々は顔の覆いを外してきました。欧米では”とっくの昔”になくした覆い、まだまだ日本では使っている人が多いのは不思議です。

今回は、半分を覆われて”マスク”されていた顔のお話。

顔の定義

顔ってなんでしょうか?

出会う人、もちろん出会わなくてもテレビなどの動画、写真でその人を見るとき、まず顔から見るでしょう。

その後、目でしょうか、”人によっては”全体、はたまた首筋、胸、お尻、好みによって様々なパートを観察します。元々、顔は、動物学的に、吻(ふん)と言います。動く生き物にとって一番進行方向の前面にあるパートです。

動物は動きながら獲物を捕らえます。捕える前に、ジャッジ即ち、判断して有益なものかどうか決めています。その判断に必要で、有益と判断したら取り入れる”道具”を配置しているのが吻です。

吻の中心には口があります。口から取り入れる”手助けの”ツールが、目であり、鼻でありそして耳です。取り入れてすぐに、機械的に大切な武器が歯、舌、嚥下用の筋肉群です。口は空気の流入流出の役目もあります。

空気は大切なものですが、体にとってはある意味有害です。基本的に”乾いて”いる空気は毒なのです。

だから口、そして鼻で加湿します。加湿のために絶えず鼻も口も湿らせているのです。何億年という進化の中で、人はこの吻の形、機能を完成させてきました。頭蓋と違って物理的に弱いのに、エサを得る、取り入れるために、脆いけれども機能を選択したのです。ちなみに、接吻(キス)はその吻を接することです(^^;)。

顔と進化

顔は、基本として二つの目、一つの鼻、同じ部品や突起、隆起や陥没を持っているはずなのに、人種の違いが大きく、両親や兄妹の”面影”を残す、すなわち遺伝的な要素が大きいパーツでもあります。

まず、寒さ、暑さに対する環境適応による変化が加わります。

寒い場所では、脳の一部が裸で飛び出している眼球を保温するために、まぶたに脂肪が多く、外から見ると腫れぼったくなり、無駄な皺も隙間も設けません。即ち切長の鋭い目つきになります。

一方、暖かいというより暑い場所では、眼球周りの脂肪を”なるべく”取り除き、相対的にギョロリとした顔に、時に眩しい場所に長く入れば光が当たりにくいように影をつけるため眼球が落ち込みます(奥目)。

空気が湿った場所では、鼻、特に鼻穴は丸く貧弱になりますし、乾いた場所では加湿器を大きくしないといけないので鼻全体が高く盛り上がります。

皮膚の色は紫外線によって違ってきますが、顔つきは、紫外線よりも進化の上で違う暑さ寒さの条件で変わっていったのです。

同じ遺伝子を持っていても、話す言葉、習慣で口元が違います。口元には多くの筋群が配置されているので、その発達に、筋肉の間の溝に違いが出てくるのです。

同じような顔をしている欧米人でも、ラテン語系で、母音をはっきり発音するイタリア、スペイン系と、同じ母音でも唇の形や舌で多くの音を変えるフランス系とは口元の動的な形に違いが見られます。戦争後大陸に残留した日本人孤児たちが、同じ兄妹である日本人とは違う顔つきをしているのも、”話す言葉”をどう使ってきたかで違いが起きてきます。

また硬めのものを噛む、噛み砕く食生活をしてきた人たちは、顎が発達して全体に大きくなります、時に四角くなるのです。形あるものを噛み砕くことの少ない現代人の顔が小さくなっているのもこのためです。

動きと晒しを隠す

マスクは、目と耳以外の生き物としてのパーツを完全に覆い隠します。本来、医療機関でのごく限られた空間と一部の病人のみが纏ってきた特殊な覆いです。

日本人は、母音を主役とした言葉を話しますが、微妙な唇の動きでその母音すら多種類ある欧米系では、この覆いはコミュニケーションの遮断にも繋がります。だからでしょうか、一番最初からマスクを嫌い、一番早くそれを脱ぎ捨てました。

古代脊椎動物の基本形を残す魚類のエラ(鰓)は水中から水と酸素、他の有機物を選択除去吸収する器官です。ヒトの眼球以外の顔の構造物は全てのパーツが外部との接触、選択、吸収のための器官であることはこのエラからできているためです。それを全て隠してしまう愚行が数年以上行われてきたのは嘆かわしいことですし、顔がどんどん成長とともに変化していく大切な年代に、覆い隠されて籠った言葉や、他の手段でお互いのコミュニケーションを取らざるを得なかった子供達の将来が心配です。

ほんの少しの期間、眼帯を片方にだけするだけで、反対側の瞼も、他のパーツも腫れぼったくなるでしょう。1箇所の動きを制限することは、大切な顔の動的な平衡も崩すのです。たとえ、”経験豊富”な、安全安心を謳う外科医が、その瞼に、鼻に、唇に、時に顎にまでメスを入れることは、その場所だけ、その人特有の進化で得た特徴を失わせることになります。外科的行為は、自然な時の流れを人工的に止めてしまうのです。

一本の細い針での”皺伸ばし”行為でも、異物が突然、無理やり、不自然な形で侵入してきます。当然、身体は免疫反応を起こします。異物を排除しようとするのです。馴染むものなどありません。異物がある限り、そこには永遠と炎症が起きます。炎症とは戦争です。異物の周りの健康な組織は荒廃し、そこには”パテ埋め”された瘢痕が残るだけです。

その場所の”時間”は、他の組織とは違った経過をたどります。目の周りだけ、頬の一部だけ皺がなく、口周りだけが不自然な”有名人”を見ると悲しくなります。

まとめ

顔こそ、隠してはいけないし、どんな小さくても刺してもいけない、どんな液体でも注入してはいけないのです。ジムはもちろんのこと、家庭で、職場で、顔の覆いをなるべく外して思い切り吻の筋群を動かして”その年代に合わせた”動的な美しさを保ち続けてほしいと思います。顔は、その人の歩んできた、学んできた歴史を表す大切なパートです。大切に”晒して”動かし続けていただきたいと思います。

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昭和32年生まれ 経歴:昭和57年宮崎大学(旧宮崎医科大学)医学部卒業  専門分野 脳脊椎脊髄外科 昭和57年からボデイビルを始める。ミスター東九州、ミスター広島(いずれもNBBF)優勝、NGAマスターズ優勝(USA)のタイトル。41歳で競技引退。 平成25年まで某ボデイビル月刊誌にて連載。筋トレセミナーを各地にて開催。その他、三輪書店、メディカルビュー社から外科手術用教科書執筆(共著) 趣味:ボデイビルトレーニング、筋トレマシン収集、読書、ピアノ 「ひげセンセのブログ」https://ameblo.jp/asaminaosan/

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